豆知識

向拝の腐食

本堂の中でも雨漏りしやすい箇所はご存知ですか?
屋根と屋根のつなぎ目部分や水の流れが集中しやすい箇所は
当然ながら雨が留まりやすく水の影響を受けやすくなります。
そこは雨漏りがしやすい場所と言えるでしょう。

ご寺院の屋根の場合、向拝(こうはい、ごはい)は雨の影響を受けやすく、
腐食しやすい部位と言えます。
原因としては、向拝部分は屋根の平面と比べて勾配がゆるく、
上から流れてきた雨水が溜まりやすい傾向にあります。

向拝部分の勾配を緩くする理由は、向拝の高さを高く保つためです。

 

もともと、寺院の屋根の場合、直線ではなく、
大棟の付近は急勾配、軒に近づくにつれ、緩勾配になるような意匠となっている場合が多くあります。

向拝を通常の軒と同じ勾配にすると、急なので水は流れやすいのですが
向拝の高さがあまり取れず、圧迫感を感じる可能性があります。
向拝の高さを高くするためにも勾配を緩くするのが一般的です。

 

【向拝の腐食実例】
こちらの御寺院様では、向拝の軒裏が腐食していました。
瓦屋根の間から水が下地の木材内部まで流れ込んでいる状況です。
それにより、参拝客の雨除けの役目をするはずの向拝ですが、
雨漏り、破損してしまっていました。
屋根改修を機に、向拝の再構築をご提案致しました。

この際、以前よりも少し勾配を変えることにより
水の流れも向拝の高さも確保できました。

また、屋根材も雨仕舞の良いカナメ段付本瓦葺き(チタン)をご採用頂いたため、
今後の雨漏れの心配はありません。

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