蟇股とは
横木(梁・桁)に設置し、荷重を分散して支えるために、下側が広くなっている部材です。そのシルエットが蛙の股の様に見えることから「蟇股」と呼ばれるようになりました。
本来は屋根からくる荷重を支える部材の一つでしたが、平安時代後期以降は装飾材としての役割が重視されていきました。
そのため装飾様式で、奈良時代、平安時代、安土桃山時代、そして江戸時代と、建物の建立時代を判定できる部材の一つです。
江戸時代にはその装飾美は頂点に達し、左甚五郎による日光東照宮の「眠り猫」は有名ですね。
蟇股は大きく2種に大別され、
・厚い板状の物を、「板蟇股」
・内部をくりぬいた物を、「本蟇股」(透かし蟇股、刳抜き蟇股(くりぬき)
と総称されています。
ただし、今日では様式の融合により違いは曖昧になっています。
他の分野の「 蟇股 」という名前
ちなみに蟇股という言葉は社寺建築の用語だけではなく、他の分野でも使われています。
・簪(かんざし)の足が広がっている形状
・漁網などで用いられる、結び目の呼び名
にも「蟇股」という言葉が使われています。言葉の由来は、どちらも同じくその形状が蛙の股脚を連想させることから来ているそうです。
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